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古代への情熱

先週『文字の歴史』というタイトルの本を読みました。楔形文字やヒエログリフ、漢字や後にローマ字アルファベットへと引き継がれていくフェニキア文字など紀元前1000年以上前より人類は話し言葉とは別に書き言葉を発明し、自らの精神遺産を後代へと伝えるための基礎を形作ってきました。この本は、そうした文字がどの地域でどのように使われるようになったか、どのような媒体に書かれていたのか(パピルス、石版、粘土、羊皮紙、紙…)、そしてそうした文字のうち長い間謎のまま残されていたものがどのようにして解読されるに至ったのかを簡潔にまとめたものです。

私が中でも特に興味を惹かれたのは、古代文字解読劇の中でも最もドラマチックであったと言っても過言ではないシャンポリオンによるヒエログリフ解読に関する記述でした。この解読が齎された背景に、ナポレオンによるエジプト遠征によって、ロゼッタストーンをはじめとしてエジプトの古代遺産がフランスに大量に持ち込まれた出来事があった点は最早あまりにも有名です。

天才シャンポリオンは少年時代、ヒエログリフが未だに解読されずに謎のまま残されていると聞かされたとき「それならば必ず自分がその謎を解いてやろう」と堅く決意したと伝えられています。文字通りの語学の天才であった彼は10代後半にして10ヶ国語以上をマスターし18歳にしてグルノーブル大学の歴史学教授の地位に就きました。余談ですが、ヒエログリフ解読のために彼が最も重視した言語の一つが4世紀頃よりエジプトで使われていたコプト語であったのだそうです。コプト語といえばあのナグ=ハマディ文書が書かれた言語としても有名です。

シャンポリオンの少年時代から続く情熱は後に実を結び、見事にヒエログリフ解読に成功しその名を永久に歴史上に残すことになりました。文字が一度失われてしまってから2000年も経ってからの解読だというのですから感想としてはただただ脱帽の一文字しかありません。私など、現代もまだ現役バリバリに残っている言語(英語をはじめとして)を何とかマスターしようと必死になっていてなかなか上手くいかないのですから、その才能の一部でもいいからわけてほしいと思ってしまいます。

それはそうと、偶然のめぐり合わせとは面白いもので、誰かの噂をしているときにその当人が表れるなどというのはしばしば起こるものです。それと同じように、ちょうど興味を持ち始めたテーマに関する本に本屋でばったり出会うという経験もあるもので、先日本屋に行って新潮文庫の棚を見ていたら何と『ロゼッタストーン解読』(アドキンズ夫妻著)という本が置いてあるではないですか。古い本であれば古本屋で探してみようかとも思いましたが、出版日を見ると二ヶ月ほど前に出たばかりの新刊のようです。そこでしばらく立ち読みをして内容を確かめてみたところ非常に興味深かったので買ってしまいました。

私は元々非常に物事にのめり込みやすいタイプなので、一度何かの話題に熱中するとそれに関する文献を色々と読み漁ってみたくなってしまいます。就職や出世には何の役にも立たないかもしれないけれど、自分の趣味は趣味として純粋に追及しながら生きていきたいと思う今日この頃です。

↑いつもありがとうございます。応援してくださると嬉しく思います。

この前ブックオフのセールでファーブルの『科学物語』を発見しました。これは昆虫記と合わせて一生の宝になりそうな予感。

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「読書」カテゴリの記事

コメント

お久しぶりです読書くん。
勉学に勤しんでいることだと思います。

考古学から派生してそういった分野にもご興味あるんですね。
是非サイモン・シン著の「暗号解読」や「フェルマーの最終定理」もお薦めします。

叡智の担い手である者の天武の才とは本当に恐ろしささえ感じます。
ただ忘れてはいけません。
Cryptographyerはいつだって深い孤独の中で戦っているのです。

投稿: ポチ | 2008年8月 9日 (土) 16時34分

楔形文字はじめました。

投稿: カオス | 2008年8月12日 (火) 00時28分

返信遅れてすみません。


>ポチさん
その二冊はちょうど『ロゼッタストーン解読』の巻末でも紹介されていました。面白そうなので機会があれば読んでみようと思います。ありがとうございます。
上記の著を読んで分かるのは、いかに強靭な精神と情熱が研究を進めるにあたって大切であるかです。
その真摯な態度を我々も見習わなければなりませんね。

>カオスさん
まずは自分の名前を書くところからですねw

投稿: 読書くん | 2008年8月14日 (木) 00時33分

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